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『 カウンセリング & 伴走型ソーシャルサポート
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「不安(不安障害)のケア」を考える

H-1.「不安(不安障害)のケア」を考える

ご質問&インデックス

  • Q
    「不安」を巡るカウンセリングで、大切にしてしている視点を聞かせてください。

応答(室長からのメッセージ)

Q「不安」を巡るカウンセリングで、大切にしている視点を聞かせてください。

 「こころ」と「対人関係・人間関係」そして「ご家族のこと」などの問題で揺れ悩み・戸惑い立ちすくむ方々のカウンセリングの際、「不安」は、最も注目している感情です。

 そもそも、「不安」という感情は日常生活の中でどのように取り扱われることが多いでしょうか。恐らく、いろいろな強さや色合いの不快な感情や気分をも含めた言葉として使われていることが多いのではないでしょうか。そこには、恐れ、苦悩、心配、まごつき、当惑、無策、混乱、パニックなども含まれると同時に体験されます。またここには、身体的苦痛と違和感なども伴います。

 この「不安」という情動(感情の動きの側面をより重視した場合、情動という言葉を用います)こそ、精神分析(無意識を心の中心の座に置き人や人間を理解しようとする立場)の誕生に貢献したのです。ジグムント・フロイト(精神分析を創始)は、不安神経症という概念(用語)を造り、不安を巡る渦中に揺れ戸惑う人が、「どういう質の不安を抱き」「その不安とどのように折り合いをつけようとしているのか」「その不安とどのように折り合いをつけられないでいるのか」などについて探求しました。まさに、フロイトが最も着目した情動が「不安」だったのです。

 そうしたことから、「不安」の性質や折り合いの無意識的起源をカウンセリングではまず重視します。なぜなら、それらは、人の乳幼児期に育まれ、その後の人生(他者との関係など)で不可避に反復して現れるからです(このことを精神分析では「反復強迫」と呼びます。「繰り返しは繰り返しを生む」とも換言できます)。

 また、この不安は、発達的な階層(根源的な始まりから、順に、重層的に複合的に重なっていくこと)を持つことが特徴でもあります。

 その中で、最も根源的(原始的)なものは「迫害不安」と「解体不安」と呼ばれます。これは自己の絶滅感や自己というまとまり感の喪失(そこから生じる恐怖感などを含め)と関連する不安です。次に、「分離不安(対象喪失の恐れ、抑うつ不安)」と呼ばれるものがあります。この分離不安には、馴染みがあるのではないでしょうか。これは、対象(例えば、母なるもの)の愛情のみならず対象そのものを失う可能性を巡っての不安を指します。さらに、「愛情喪失の恐れ」「去勢不安(父なるもの、すなわち、掟と力とその折り合いから生じる不安や罪悪感。そして、それへの無意識的な嫉妬や怒りや羨ましさからくる衝動などから複合的に構成される不安)」「超自我不安(“こころ”という自我を観察し、命令を与え、裁き、処罰によって脅かす超自我との折り合いを巡り複合的に構成される不安)」などが重なっていきます。

 ご相談者が感じ抱え、揺れ戸惑う「いま、ここ」での不安は、そのように複合的に構成された背景としての歴史(起源)を持っています。

 当相談室では、そうした不安を巡る理解を踏まえながら、ご相談者との“カウンセリングとソーシャルサポート”に、丁寧に伴走・協働いたします。

「不安(不安障害)のケア」について考える

引用・参考文献 : ① グレン・O・ギャバ−ド 著(2019)精神力動的精神医学 その臨床実践 第5版(DSM-5®準拠).岩﨑学術出版社.②ジュリア・スィーガル 編(2007)メラニー・クライン〜その生涯と精神分析臨床〜.誠信書房.③グレン・O・ギャバ−ド 著(2012)精神力動的精神療法〜基本テキスト〜.岩崎学術出版社.④松木邦裕 編(2021)トラウマの精神分析的アプローチ.金剛出版.⑤小此木啓吾 編集代表(2002)精神分析事典.岩崎学術出版社.

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