宇都宮市・鹿沼市近辺での
『 カウンセリング & 伴走型ソーシャルサポート 』は
一般社団法人 福祉コラボちむぐくる
とちぎステップ家族相談室
〒322-0021 栃木県鹿沼市上野町137-3
JR日光線・鹿沼駅から徒歩3分(JR宇都宮駅から2駅目です)
わたしたちは
ひとりぼっちじゃない。
あるまとまりをもった全体、すなわち、システムとして理解します。システムとは、「家族という複数の人々が織りなす人間関係のこと」を指します。この家族というシステムは、その内外に生じる絶え間ない変化(例えば、「暴力」などの問題)にもかかわらず、安定状態を維持しようとする仕組みが備わっているところに特徴があります。その上で、生じ直面化する問題(例えば、「夫婦の意見衝突」など)によってはその変化を出来るだけ抑え、また、別の直面化する問題(例えば、「問題を抱えていた娘がようやくリハビリ施設につながり家を出た」など)によっては大きな変化で家族を新たに再構築していくなどの発達をするとの視点です。
この家族発達には、結婚によって家族が誕生してからメンバー全員が亡くなるまでその家族一代の変化をとらえる視点もあれば、何世代も連なった多世代的発達をとらえる視点もあります。特に、この多世代的発達の視点では、自分の生まれ育った家族を、自分の起源・根源と考え「源家族」と呼び、とても重視します。なぜなら、この「源家族」からの自律・自立は、私が唯一無二の“わたし”になるための隠されたテーマともなっているからです。
そうした「発達」の観点以外にも、「構造」と「機能」に着目します。
「構造」とは、家族のつくりのことで、家族成員の数や、父親・母親・きょうだいなどのことを指します。
また、「機能」とは、家族のはたらきのことで、秩序(ルール)やその秩序に基づいたコミュニケーション、そして役割パターンなどのことを指します。
こうした家族の「発達」「構造」「機能」は、相互に密接に絡み合っていることは言うまでもありません。
二人が結婚すると、数十年に及ぶ生活が続く可能性があります。それは、長いようで短く、短いようで長いのだとも言えましょう。
その途上には、大小幾多の危機があるものです。この危機とは、それまで夫婦が身に付けて来たやり方では対処できないことに直面化した時に生じるものです。例えば、妻が抑うつ感に苛まれるようになり、それまでこなしていた家庭での役割(例えば、赤ちゃんのケアなど)に支障が生じ始めたとします。夫や、実家の両親のサポートを受けながらその支障を最小限としつつ、妻の回復の後押しを可能な限りします。
そのような危機を何とか乗り越えた延長線上に、夫婦としての発達の課題をこなし成長したという実感・体感が育まれるのです。もちろん、危機がより深刻化し、長引き、夫婦そして家族の解体に至ってしまうこともあるでしょう。
そうしたことから、危機=危険+機会とも捉えられるのです。つまり、危機というのは、それによって自分やパートナーが苦しみを味わい、家族や人間関係が壊れてしまう危険性を秘めている一方で、それを乗り越えることができたら、以前よりも大きく成長し、関係がよりよくなる機会になる可能性も秘めているということなのです。「ピンチの後にチャンスあり」ということと似ているかもしれません。
ここで、ジェノグラム(心理的家系図)の描き方やその読み取り方をリードし、「家族の生涯(ライフサイクル)と夫婦の成長の機会(発達課題)」を提唱したカーターとマクゴルドリックの家族ライフサイクル論を表で紹介します。
家族ライフサイクルの段階と中心となるテーマ | 夫婦の発達課題(成長のための課題) |
第一段階 結婚前の独身の段階:自己の確立 | ◇ 職業を選択してコミットし経済的に自立すること ◇ 友人や恋人として親密な人間関係を築くこと ◇ 親や実家から心理的に自立すること |
第二段階 新婚夫婦の段階:夫婦としてのアイデンティティの確立 | ◇ 夫婦としての家庭生活と、友人関係や仕事とのバランスをとること ◇ 二人の間でのルールづくり ◇ お互いにパートナーに適応すること ◇ 夫婦としての絆と実家との絆のバランスをとりながら、夫婦の信頼関係を強めていくこと ◇ 子どもについて話し合っておくこと |
第三段階 乳幼児を育てる段階:子どもにとって安心できる夫婦関係の構築 | ◇ 親としての役割を身につけること ◇ 子育てをしつつ、夫婦の絆を保つこと ◇ 祖父母や親族との関係の調整 ◇ 人間としての自分の親を見つめ直すこと |
第四段階 学童期の子どもを育てる段階 | ◇ 家族と社会(学校・地域)との交流を深めること ◇ 子どもの教育に関与すること ◇ 子どもの心身の健康な発達を促進すること:知育に偏らない子育て |
第五段階 思春期・青年期の子どもを育てる段階 | ◇ 進路や職業について選択すること(子ども) ◇ アイデンティティの育み(子ども)とアイデンティティの再確認(親) ◇ 中年期の危機を乗り越えること(人生の午後) ◇ 子どもの自立的欲求と依存的欲求にバランスよく応えること ◇ 親として夫婦が協力すること ◇ 夫婦としてのアイデンティティを再確認すること ◇ 夫婦としての将来について考え始めること |
第六段階 子離れ(子放し)の段階 | ◇ 子離れ(子放し)に伴う喪失感に耐え、受容すること ◇ 成人した子どもを大人として尊重し、適切な距離を保つこと ◇ 親の介護や同居の問題に対処すること ◇ 老後の準備を始めること |
第七段階 老年期の夫婦 | ◇ 生理的な老化を受け入れ対処すること ◇ 仲間や同胞の喪失への対処 ◇ 夫婦で互いに支え合うこと ◇ 配偶者の老化や死への対処 ◇ 人生の振り返りと統合 ◇ 自己の死(旅立ち)への準備 |
家族関係を考える
引用・参考文献 : ① 日本家族研究・家族療法学会 編(2003)臨床家のための家族療法リソースブック.金剛出版. ②中釜洋子・野末武義 他編 (2019)家族心理学<第2版>家族システムの発達と臨床的援助.有斐閣ブックス. ③長谷川啓三 著(1987)家族内パラドクス〜逆説と構成主義〜. 彩古書房. ④リン・ホフマン 著・亀口憲治 著(2006)家族療法の基礎理論〜創始者と主要なアプローチ〜.朝日出版社.⑤野末武義 著(2015)夫婦・カップルのためのアサーション〜自分もパートナーも大切にする自己表現〜.金子書房.