宇都宮市・鹿沼市近辺での
『 カウンセリング & 伴走型ソーシャルサポート
一般社団法人 福祉コラボちむぐくる

とちぎ家族相談室

〒322-0021 栃木県鹿沼市上野町137-3

JR日光線・鹿沼駅から徒歩3分(JR宇都宮駅から2駅目です)

わたしたちは
ひとりぼっちじゃない。

電話受付は,休室日(月に1,2回程度)を除く
毎日(平日・土日祝)9:30-22:00です.

お問合せ・ご相談はこちらへ

090-7243-2484

「うつ(抑うつ障害)」について考える

G.「うつ(抑うつ障害)」について考える

ご質問&インデックス

  • Q1
    「うつ」と「うつ病」は違うと聞きました。どのように理解したらいいのでしょうか。
  • Q2

    「うつ病」に、周囲の者(家族など)が気づくサインはありますか。

  • Q3
    「うつ病」の原因ってなんですか。
  • Q4
    「うつ病」の仲間や関連するものには、どのようなものがあるのでしょうか。

応答(室長からのメッセージ)

Q1.「うつ」と「うつ病」は違うと聞きました。どのように理解したらいいのでしょうか。

 「うつ」は気分を表す心の状態を指します。換言しますと、生理的な現象のことを指します。一方、「うつ病」は病気です。病気故、その持続性や重症度、特徴的な経過が含まれます。

 したがって、「うつ」では、挫折・心配・不安・失敗・悩みなどと重なり気分が落ち込みますが、なんとか生活はできる状態です。一方、「うつ病」は、強さにおいてはるかに強く、持続においてはるかに長く、苦しさにおいてはるかに苦しく、生活に支障が大きく出ます。

Q2.「うつ病」に、周囲の者(家族など)が気づくサインはありますか。

 軽うつ状態から変化が見え始めます。「だるそう(疲れやすさ)」「表情のかたさ」「動作の鈍さ」「口数が少なくなる」「周囲に無関心(快楽消失)」「声が小さくなる」「じっとしていられずソワソワする」などの変化です。

 また、症状が進むと、気分の日内変動が見られます。この気分の変動は、午前中にひどく、夕方以降は少し気分が楽になるとの傾向です。そのため、明日は何とかやれそうだと思えるのですが、いざ横になると熟睡できず、眠りも浅いことが特徴です。そして、朝起きると、頭の重さや、のどやその奥に、鉛や鉄の固まりが入ったような不快感が起こったりします。こうして、徐々に、将来に考えが向かず、過去のこと、特に失敗や嫌な記憶、否定的な感情が続くようになります。

 このうつ気分が高じると、自分が自分でないような感じがするなどの知覚の障害や、現実を客観的に認識できず悲観的・マイナスなことしかとらえられないなどの認知の障害、頭の中で悲観的・マイナスの悪循環が起こり抜け出せなくなる思考の障害も生じたりします。さらに、事実とはかけはなれた考えを持つようになる妄想的確信に至る場合もあります。この妄想には、働けないから入院費も生活費もなく、仕事も失って一文無しになり家族皆が路頭に迷うといった貧困妄想などがあります。

 同時に、食欲不振、痛み(頭や背中など、痛みを感じる部位が移り変わる)、息苦しさ、口渇感、性欲低下などの体の変調が目立つ場合も多々あります。この体の変調のみが体験される場合、仮面うつ病と呼ばれたりもします。

Q3.「うつ病」の原因ってなんですか。

 うつ病の多くは、重要な出来事(家族や親しい人の死や別れといった喪失体験など)の後や、慢性的な過労状態にある時など、ストレスを感じるような状況で発症します。

 しかし、その原因は、ストレスになる出来事、環境の変化(異動、転職、昇進、結婚、転居など)、性格(ものごとの考え方やとらえ方などの癖やパターン)、幼少期の環境(源家族との関係、学校生活など)、遺伝要因、月経前・妊娠・出産・更年期のホルモン分泌の変化などが複合的に影響しあっていると考えられています。

Q4.「うつ病」の仲間や関連するものには、どのようなものがあるのでしょうか。

 なにもできなくなるほどではなくても、慢性的なうつ状態からなかなか抜け出せないなどがあります。具体的には、「気分が落ち込み、やる気が出ない」「なんとか生活しているが疲れやすい状態が続いている」「不眠」「夜間十分な睡眠をとっているはずなのに、日中、起きていられないほどの眠気がある(過眠)」「自尊心の低下」「集中力の低下」「絶望感」などに苦しみます。

 こうした症状(軽いうつが長く続く)は、気分変調症などと呼ばれます。

 また、若い女性に増えているものに、非定型うつ病があります。

 これは、「よいことがあるとハイになり、よくないことがあるとひどく落ち込むなど、まわりの状況に気分が左右されやすい」「むちゃ食い(過食)」「他者から拒絶されることに過敏になっている」「体が鉛のように重く疲労感が強い」「一日中眠くてたまらない(過眠)」「怒りのコントロールが効かなくなる」などの症状が特徴です。

 そして、関連するものとして、躁とうつが交互に入れ替わる双極性障害があります(以前は、躁うつ病と呼ばれていたものです)。この躁の状態とは、つぎのようなものです。「疲れを感じない」「気分が高揚する」「食欲や性欲がアップする」「眠らなくても大丈夫」「万能感」「多弁」などが特徴です。

 さらに、職務や職場環境の急激な変化、人間関係のトラブル、家庭状況の変化など、明らかなストレス要因があった後、三ヶ月以内にうつ状態に陥った場合には、うつ病ではなく適応障害と診断されます。

 最後に踏まえておきたいことは、うつ病は、他の心の病気と合併することが多いことも特徴だということです(発達障害+うつ病、解離性障害+うつ病、不安障害+うつ病など)。

「うつ(抑うつ障害)」について考える

引用・参考文献 : ① 野村総一郎 監修(2018)新版 入門 うつ病のことがよくわかる本.講談社. ②日本うつ病学会 当事者のためのガイド小委員会 編(2022)当事者・家族のためのわかりやすいうつ病治療ガイド.認定特定非営利活動法人 地域精神保健福祉機構(コンボ). ③杉原保史 著(2019)プロカウンセラーの 薬だけにたよらず うつを乗り越える方法. 創元社. ④グレン・O・ギャバ−ド 著(2019)精神力動的精神医学 その臨床実践 第5版(DSM-5®準拠).岩﨑学術出版社.⑤松木邦裕・賀来博光 編(2007)抑うつの精神分析的アプローチ〜病理の理解と心理療法による援助の実際〜.⑥水島広子 著(2009)対人関係療法でなおす うつ病〜病気の理解から対処法、ケアのポイントまで〜.

サイドメニュー