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『 カウンセリング & 伴走型ソーシャルサポート
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「うつ(抑うつ障害)のケア」を考える②

G-2.「うつ(抑うつ障害)のケア」を考える②

ご質問&インデックス

  • Q1

    からだの重さ、だるさ、疲れ、頭の重さ、肩こりなどが強く、落ち込み気分(抑うつ感)はあまり感じません。ケアの大切な視点を聞かせてください。

  • Q2

    「新型うつなのかなぁ」と思うことがあります。ケアの大切な視点を聞かせてください。

  • Q3

    「抑うつ」のカウンセリングで、大切にしている視点を聞かせてください。

  • Q4
    「不定愁訴(ふていしゅうそ)」について聞かせてください。また、カサンドラ症候群との関係についても聞かせてください。

応答(室長からのメッセージ)

Q1.からだの重さ、だるさ、疲れ、頭の重さ、肩こりなどが強く、落ち込み気分(抑うつ感)はあまり感じません。ケアの大切な視点を聞かせてください。

 「仮面うつ」などと呼ばれる状態にあるのかも知れません。この状態は、これまで、自分自身のこころの中で起こっていることに、注意を向け、そこでの感覚や感情の動き(変化)に呼応する名前を与える(「シンドイなあ」など)経験が乏しかったことなども影響していると考えられたりします。

 見方を変えますと、そうした経験の乏しさ(乏しいことは、悪いという意味ではありません)の中で身に付けてきた癖やパターン(こころとしての自分自身を守るこれ迄の守り方≒仮面)が、「いま、ここ」での自分自身に、合わなくなっているとのメッセージが「からだの重さ」「だるさ」「疲れ」「頭の重さ」「肩こり」なのかも知れないとの理解の視点が大切になります。

 そうした見方を視点としつつ、当相談室では、メンタライズ力(こころでもって、こころを思うこと・包むこと)を育むことを“カウンセリングとソーシャルサポート”の目標の一つとし、このことで悩むご相談者に伴走・協働いたします(※「トラウマのケアを考える②Q1の応答」を併せてご参照ください)。

Q2.新型うつなのかなぁ」と思うことがあります。ケアの大切な視点を聞かせてください。

 従来のうつと比較し、元気がなく憂うつ気分がある点では同じなのです。しかし、頑張りや踏ん張りを重ね続けて状態が悪くなるというような従来のうつの変化を辿りません。仕事に行くと、気分は低調・不調に陥るのですが、仕事が休みの時などは、自分なりの楽しみ(趣味など)を楽しむことができます。また、自分自身を責める(自罰的)ことはせず、場合によっては会社や家族などを責める(他罰的)傾向が強くなることがあります。

 そうしたことから、周囲からは否定的な眼差しを向けられがちです。そのため、このことに揺れるご本人は、二次的な苦しみをも抱えがちです。特に、「自己責任」という言葉に代表されるように、「個人化(個人で生き延びろ)」と「能力主義(個人の努力や能力によって乗り越えよ)」が支配する現代社会では尚更です。

 そうしたことを踏まえますと、このことに悩むご相談者には、より周囲の理解(環境調整)と継続的なサポートが必要になるのです。

 サポートの目標の一つは、「仮面うつ」と重なります。

Q3.「抑うつ」のカウンセリングで、大切にしている視点を聞かせてください。

 まず、うつ病(抑うつ障害)の診断を受け、通院などをご継続されているご相談者の場合、主治医との丁寧な連携を第一に重視します。その上で、「いま、ここ」での病状を踏まえつつ、セルフケアの方法の具体的なサポートをいたします。同時に、カウンセリングの手法も、支持的なものから探索的なものまで、ご相談者により適ったものを提供いたします。

 また、「抑うつ感(落ち込み気分など)」などを抱えご来談いただきましたご相談者とは、「抑うつ感(落ち込み気分など)との上手なつきあい方」をベースラインとしながら、探索的なカウンセリング手法(精神分析的カウンセリング)のご提案などもいたします。

 精神分析的カウンセリングは、こころの問題の原因を、無意識世界にある未整理で未消化な「もの」や「こと」に見出します。特に、ご相談者の「いま、ここ」迄の生育史(源家族、特に、親との関係など)を通して、カウンセラーとともに、体感・実感しつつ考えること(洞察すること)です。このカウンセリングは、過去を振り返ること自体が目的ではなく、「いま、ここでの苦しみ」を解決するヒントを、カウンセラーとともに探し整理し消化する協働作業です。

 実際、ジグムント・フロイト(精神分析を創始)を始めとする先達(無意識を心の中心の座に置き人や人間を理解しようとする立場の)は、「抑うつ」を巡って、臨床実践からその深層理解のための多くの貢献をしています。

Q4.「不定愁訴(ふていしゅうそ)」について聞かせてください。また、カサンドラ症候群との関係についても聞かせてください。

 心身に不調や違和感を感じ、そのことを言葉で表現することを愁訴(しゅうそ)と呼びます。例えば、イライラする、身体が重く気力が湧かない、頭が重い、疲れやすいなどの状態が続きます。そして、そうした状態の変化に自分自身嫌気がさしたりします。また、こころにポッカリと穴が開いたみたいな寂しさにも苛まれたりします。同時に、この状態にある自分自身のことを、上手く他者に説明できません。説明しても、分かってもらえません。そうした状態にあることを、不定愁訴と言います。

 こうした状態に陥り、診療を継続しても軽快しない場合、カサンドラ症候群で苦しんでいる可能性もあります。カサンドラ症候群とは自閉スペクトラム症(ASD)の特徴を持つパートナー(親子関係、職場の上司・同僚・部下との関係なども含まれます)との関係において、情緒的交流を育むことができず、強い葛藤や不安・不満、恐怖や孤独感、心身の不調にさいなまれる状態を認知し自己理解(自分の状態を把握する)を助けるための言葉です(医学的診断名ではありません)。

 当相談室では、そうした視点も加味し(対応の仕方のポイントなども適切に加えることなど)、ご相談者との“カウンセリングとソーシャルサポート”に伴走・協働いたします。

「うつ(抑うつ障害)のケア」を考える②

引用・参考文献 : ①グレン・O・ギャバ−ド 著(2019)精神力動的精神医学 その臨床実践 第5版(DSM-5®準拠).岩﨑学術出版社.②杉原保史 著(2019)プロカウンセラーの 薬だけにたよらず うつを乗り越える方法. 創元社. ③松木邦裕・賀来博光 編(2007)抑うつの精神分析的アプローチ〜病理の理解と心理療法による援助の実際〜.

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